約 50,420 件
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もったいないくらいだ。
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ガルヘルドの呪詛 闇属性 スペル:詠唱 (闇)(2) 場にいる対象のリゾネイター1体をレストする。ターン終了時まで、そのカードは【-400/-400】を得る ヴァルハラの戦乱で登場した闇属性 スペル:詠唱。 スターターデッキ漆黒の幻影に先行収録された。 収録パック等 漆黒の幻影 2-146 C ヴァルハラの戦乱 2-146 C
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かつての新規12神将の一人 内政称号三種を同時に得るのが趣味 引退 名前 コメント
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人物 戦闘/技術・知識 所持品 日記/人間関係 追記/その他 同じ中の人のキャラ 人物 世界より追放されし異端なる黒──歪なる無我の魔人 「王たる私の前で卑しく助けを求めるか、人間!」 魂の名 al huel eeas=(アルフェリアス・)wee sel eon=(ウィーセリオン・)vald eeg ia(ヴァルディジア) 性別 男 種族 魔人 肉体年齢 29歳 実年齢 十億と少し 誕生日 この世界の暦には直せない 身長/体重 186cm/78kg 趣味 魔法の習得・開発 好き 混沌とした世/自由意志に構成された世界バルート/カース・マルツゥ 嫌い 平穏な世/秩序に支配された世界フィッシュ&チップス/ニルギリティー 得意 言語習得/暗算 大切 自我/魂の名 所属 なし 容姿 髪 髪型:弱いパーマのセミロング、後ろに二本のおさげ髪色:左前に金のメッシュの入った黒 目 形:睨み付けている様に鋭くつり上がっている瞳の色:黒(魔眼解放時のみ右目が金) 髭等 なし 服装 上下:カシミア生地の黒いタキシード外套:黒のチェスターフィールドコート 装飾品 帽子:黒のホンブルグ・ハット 常時着用 右の眼球に直接鎖で巻き付けられたモノクル その他 首から下の全身と右頬に呪いによる紋様が刻まれている 来歴 彼の生い立ちは非常に特殊であった。戦争の為の戦争、全ての技術が戦争の為に発展し、全ての生が戦争の為に成長する世界「ノア」。その世界に親も無く、理由も無く、名前だけを持ち突如として“発生”したのが彼──アルフェリアスである。アルフェリアスは発生した時、既に五歳児程度の身体を持ち、凄まじい力を有していた。戦場の真っ只中に突如生み出された彼は、呼吸をするように軍を吹き飛ばし、兵器を叩き潰し、数秒で一つの戦場からあらゆる生命を根絶した。それは彼にとっては唯、迫り来る攻撃から身を守っただけだったのだが、あまりにも力が強すぎたのだ。彼が触れれば生命は自壊し、腕を振れば地形が変わり、その金の右目で見られた者は魂から消滅した。やがて、世界を知る為に歩き回り、道中で幾多の戦争に巻き込まれ、滅ぼしてきた子供は、理解する。自分はこの世で最も特別で優れた生物なのだ、と。一年が経ち、二年が経ち、アルフェリアスは身体の成長と共に更に力をつけていた。いつの間にかノアの人間総てに知られていた「世界の敵・アルフェリアス」の名は、敵意以上に惧れを以って語られる事となる。理由も無く争い、争う為に理由を作り、その為の退化とも言える成長を続けるノアの人類。この世界に未来は無い事を察したアルフェリアスは生まれてから百年が経過した頃、肉体の成熟と共にノアを見限った。最初の「世界の破壊」である。その絶大な魔力を以ってアルフェリアスは63兆1021億9814万7655人の人間を一瞬で消滅させた。それから、その魔力により強引に世界の境界をこじ開けては新たな世界へと渡り、人類の価値を独自の天秤で量っては未来を嘆き、滅ぼして行く。その身勝手な世界放浪は百の世界を滅ぼした時、遂に終わりを告げる。唯一、アルフェリアスが命を奪わなかった人間、賢神「ウェルティル」。百個目の世界で友情を育んだ唯一の友の、裏切りである。アルフェリアスの身勝手な虐殺に怒ったウェルティルは彼の隙を突き、アルフェリアスの魔力の源である右の魔眼を媒介として呪いを掛け、強制的に世界から追放した。その呪いは「無我の呪い」と言い、百個の世界に住まう総ての人間を救わない限り、永遠にランダムな世界に飛ばされ続ける、という代物である。自分こそが絶対で、何も考えずに生きる愚か者に生きる価値は無いと考えるアルフェリアスにとって、他者を無条件で救わなければならない無我の呪いは苦痛以外の何物でも無く、殺すことが不可能なほどに強大だったアルフェリアスに対する最善とも呼べる一手であった。この呪いは救済を諦めると新たな世界に飛ばされ、もし直接的に人間の命を奪えば救った世界のカウントがリセットされ、自身の力が少しずつ失われてしまう。裏切られた怒りと憎しみで更に幾つかの世界を滅ぼし、自身の力が減少している事に気付いたアルフェリアスは呪いへの抵抗を諦め、それから無限にも思える救済の時を過ごす。そして、九十九の世界を救い、遂に最後の世界に辿り着いたアルフェリアスが見たものは、複雑怪奇にして奇々怪々、自身が見た中で最も変わっている世界の、能力者の街と呼ばれる街並みであった──。 人物像 傲岸不遜、傍若無人。大仰な話し方をする青年。あるいは貴族然とした態度に見えるのだが、その右目の異常な様相から、気狂いの類と思われる事が多い。だが、彼は気が違った訳ではなく、純粋に、本気で己こそが世界で最も偉いと思っている。人間を滅ぶべき種族としているが呪いにより直接手を出せないので、いつも歯噛みしている。 戦闘 能力 拓落失路の魔人王──【征辿魔導】 破壊力-B スピード-C 射程距離-B 持続力-B 精密操作性-A 成長性-A 呪いに削られ、嘗ての0.02%のみとなってしまった魔力の残滓。封じられた魔眼から漏れ出る魔力は、自身の身体の一部強化と手に持つ武具の制御の力を持つ。武器の重さや硬さを操作できるが、それらを同時に制御することは出来ず、身体強化も腕や足など同時に一部の強化しか出来ない。しかし武器の制御と身体の強化は同時に行え、それなりの接近戦闘力を持つ。 絶大なる魔力を秘め、呪いに蝕まれし魔眼──reb ild(リビルド) アルフェリアスの右目に宿る魔眼。「reb ild」とは古ノア言語で「深淵」の意。アルフェリアスの魔力の源であり、呪いの結晶化した「モノクル」により封印されている。常に呪いの解析パターンが変化し、一時的な解除の為の構造解析にも少しの時間(5レス)が必要。また、解析パターンを固定化し、一時的に解放する為に三節の詠唱が必要で、その間は身動き一つ取れない程集中しなければならない。なお、この呪い自体は時間を掛ければ完全な除去も可能なのだが、そうすると魔眼自体も消失し、魔力の枯渇により死亡してしまう。 情報 身体能力 一般人(二流格闘家) 初期装備 3mの大剣 利き腕 両 利き足 両 技術/知識 詠唱魔術/分割詠唱/魔力操作魔術魔法知識/多様言語知識 授与スレ Act.35の88 その他特筆事項 特になし 戦法 その傲岸不遜な性格から、戦法というものは存在しない。更に言えば、どれだけ自分が不利であろうと、それを戦闘と認めない。何故ならば戦闘とは対等な者同士で行うものであり、総ての王である自分が行うのは「排除」である、という考えがあり、それ故に戦闘という物を知らないからだ。故にその戦い振りはお粗末なもので、ただ持つ力を振るっているだけである。嘗てはそれだけで何者よりも強かったのだが、呪いに蝕まれた今では唯の弱者である。しかし、彼我の実力差を冷静に見る頭はある為、無謀な戦いは苦汁をなめながらも回避しようとする。そんな弱者である彼だが、魔眼を解放した状態の力は凄まじく、嘗て程ではないが大規模な魔法を発動する事が出来る。 技術・知識 +詠唱魔術 ・詠唱魔術 習得した魔法・魔術の数々。 [部分編集] +古代ノア魔法 ・古代ノア魔法 ※ノア語使用フォント「【Hymmnos】True Type Font (v1.1)」 リビルド 詠唱 al(アル) mes(ミス) haeSSs(ヘイシス)──. hiL(ハイル) kang(カング) No(ノー) mxaa(ムーサー), Hyyv(ヒーヴ) vial(ヴァイアル) jot(ジョット) PhenOs(フェノス)──. reb ild(リビルド) wEL(ウェル) dyge(ディージ) Vlkas(ヴルカス), hholea(ホーリア) qok(クォック) deze(ディジィ) wEL(ウェル) lafSSS(レイフシス) laf(レイフ)──. huel(フェル) mes(ミス) saaS(セイエス) kang(カング), wes(ウィス) jerra(ジェーラ) gyaya(ギャヤ) kang(カング)──. wes(ウィス) ciel(シエル), zaer(ゼイル) val(ヴァル) rrya(ルルーヤ)──. Ssha(サシャ) ttu(ツトウ) fou(フォウ) tTla(テトラ), wes(ウィス) fou(フォウ) slt(シルト) mes(ミス) ill(イール). reb ild(リビルド) dear(ディアー)──. 効果 魔眼の封印を解放し、自身の魔法能力を飛躍的に上昇させる。 +分割詠唱 ・分割詠唱 [部分編集] 魔力の低下に伴い身に付けた。 魔力の少なさを詠唱により補い、その詠唱を節ごとに分割する事で詠唱の崩壊を抑制する。 即ち魔力と集中力を補い、弱体化した現在の力でもそれなりの魔法を扱えるようにする技術。 +魔力操作 ・魔力操作 [部分編集] 的確に自身の魔力を感じ取り、それを操る。 肉と魔の混成である魔人だからこそ凄まじいレベルの高さを持つ汎用技術。 魔法に携わる者ならば多くが身に付けている技術だが、彼のそれは凄まじい精密性を持つ。 +魔術魔法知識 ・魔術魔法知識 [部分編集] ありとあらゆる魔術と魔法に関する知識。 膨大な時を掛けて覚えた多くの魔術と魔法は、様々な形式を持ちその効果も大きく異なる。 主に他者の魔術魔法の解析に活躍する。 +多様言語知識 ・多様言語知識 身に付けた多種多様な世界の言語。本人曰く「六百六十六の言語を操る」らしい。 +古ノア言語 ・古ノア言語 [部分編集] アルフェリアスの生まれた世界「No.a(ノア)」に存在した古代言語。 これとは別に新しいノア言語が主に使用されていたのだが、彼はより原始的で魔術と親和性の高い此方を好む。 基本的には感情を表す「情音」、人称代名詞となる「人音」、他の単語を強調装飾する「飾音」、行動を意味する「動音」、モノの名を表す「名音」、接続詞や助詞を表す「中音」からなる。 単語の最後に『ta』を付けると、複数形となる(mes[私]がmesta[私達]の様に)。 【登場した単語】 情音 単語 読み 意味 al アル 怒りに燃えている huel フェル 狂気に呑まれている wee ウィー 幸福に包まれている vald ヴァルド 嘆いている Ssha サシャ トランス状態、恍惚 人音 単語 読み 意味 mes ミス 私、自分 wes ウィス あなた、他者 飾音 単語 読み 意味 sel セル とても深い・深く reb リブ 永遠の如き ls ルス 澄んだ dyge ディージ 暗い hholea ホーリア 聖なる lafSSS レイフシス 赤い wEL ウェル 以上、より大きい jerra ジェーラ 汚れた、穢れた fou フォウ 集中して 動音 単語 読み 意味 eon イオン 浸る ia イア 憂う haeSSs ヘイシス 支配する kang カング 変化する mxaa ムーサー 満たす jot ジョット 叩く、殴打する、打つ PhenOs フェノス 鳴らす、響かせる zaer ゼイル 降る、降り注ぐ tTla テトラ 聞く slt シルト 見る 名音 単語 読み 意味 eeas イーアス 悪魔 eeg イーグ 将来 ild イルド 穴 co コー 黒 hiL ハイル 地獄 Hyyv ヒーヴ 天国、楽園 No ノー 世界 vial ヴァイアル 鐘 Vlkas ヴルカス 黒 laf レイフ 赤 qok クォック 女性 deze ディジィ 血液 saaS セイエス 神 gyaya ギャヤ 罪人 ciel シエル あの世 val ヴァル 嘆き rrya ルルーヤ 涙 ill イール 目 中音 単語 読み 意味 ttu ツトウ さあ、~しなさい。 dear ディアー ~である。 所持品 +武具 ・武具 [部分編集] 武器 名前 説明 アルコルスal co ls 「怒りの漆黒」の名を持つ大剣。其の名の通り全てが光すら呑み込む黒で造られており、別世界の金属で構成されている。刃だけで2m60cm、全長にして3mにもなる20kg超の鉄塊。その表面は非常に滑らかに造られており、手を滑らせればまるで氷の様に無抵抗。片刃という事もあり、その分厚い刀身からは想像出来ない程の切れ味を持ち、重量も相まって人体程度ならば容易く切り落とす。普段は服に合わせてステッキの形に変化させているが、この状態で攻撃や防御に使おうものならばいとも簡単に砕け散る。 +アイテム ・アイテム [部分編集] なし 日記 [部分編集] なし +過去の日記 [部分編集] なし 人間関係 [部分編集] 追記 意見・指摘等も此方へお願いします。 [部分編集] 名前 コメント その他 +能力原文、Q&A ・能力原文 【征辿魔導】 貴方はその身に魔力を秘めた魔法使い 扱える魔法は身体や武器に魔力を流しての制御、強化系である 武器に流せばその重量をある程度であるが制御でき、その硬さも強化できる 身体に流せば膂力や脚力を少し上げられる ただし、上げられるのは身体の一部であり、全身を強化することはできない また、武器の制御も重量と硬さを同時に上げることは出来ない なお、武器と身体に同時に制御、強化することは可能 『源詠魔眼』 開放条件:戦闘開始から5レス後、魔眼殺しを外す詠唱を唱える これを唱えるレスでは魔法は唱えられず、発動した魔法も解除しなければならず さらに攻撃、防御、回避行動も取ってはいけない。なお、魔眼殺しを外せるのは次のレスからになる 貴方の片目は魔眼であり、貴方の魔法は本来、この魔眼を介して発動される 魔眼は通常では封じられており、封じられている状態で扱える魔力もまた魔眼開放時よりも少ない また、魔眼を封じるアイテムは通常では自分でも外せず、専用の詠唱を唱えた後でなければ外せない それほど強い魔眼殺しであるということである 魔眼を開放した状態での魔法は詠唱を必要とし、 詠唱を破棄して唱えれた時、魔眼を封じている状態で発動された魔法と同じ効力になる 魔眼を開放された魔法は制御、強化魔法だけでなく広範囲に展開できるものも扱える ただし、範囲の広い魔法は詠唱する節も多くなり、またレスを跨がなければ発動できない 身体能力:一般人並み→ (一部が)ニ流格闘家並み 初期武器:大剣、魔眼殺しのアイテム(メガネでも眼帯でも) ・Q&A Q1.魔眼の解放が可能なのは5レス目のみでしょうか、それとも5レス目以降でしょうか A1.5レス目以降になります Q2.魔眼殺しは物品ではなく、魔術的な封印でも良いでしょうか A2.いえ、物品でお願い致します 魔術的な封印になりますと、もし魔眼系統の相手にぶつかった場合は封じることが可能、ということになりかねませんので Q3.魔法は通常時も詠唱が必要という事で良いでしょうか A3.通常時は必要ありませんが、詠唱ありでももちろん大丈夫です Q4.魔眼解放までは強化のみ、魔眼解放後は色々使える、という事で良いでしょうか A4.YES、その認識で間違いはありません Q5.大剣の設定はどの大きさまでOKでしょうか、また強化無しでは振れないという事で良いでしょうか A5.背の高い(170ほど~)能力者なら……3mほどは大丈夫、ということで 強化なしでも振れることはできますがかなり鈍重で、蝿が止まりかねないくらいです 両手でも持ち上げるのに苦労する。背負って持ち歩いても大剣の重さのせいでかなりノロマです Q6.詠唱の長さによる威力や規模と、掛かるレス数の目安をお願いします A6.備考欄があるものは、集中させるために移動ができなくなるという意味を持ちます また、3レス以降から備考欄がないのは魔力が安定してなんとか動けるからです 1レス内 詠唱1節:威力弱 範囲:数m 詠唱2節:威力弱 範囲:数十m 備考:回避不可 詠唱3節:威力弱 範囲:数百m 備考:防御、回避不可 2レス内 詠唱4節:威力中 範囲:数m 詠唱5節:威力中 範囲:数十m 備考:回避不可 詠唱6節:威力中 範囲:数百m 備考:防御、回避不可 3レス内 詠唱7節:威力大 範囲:数m 4レス内 詠唱8節:威力大 範囲:数十m 6レス内 詠唱9節:威力大 範囲:数百m +用語集 設定に登場する用語の解説。 [部分編集] +裏設定 ロールに登場しない、あるいは登場頻度の低い設定。 また、意図的に隠したい設定も此処にあります。 [部分編集] なし +小ネタ 自己満の宝庫。 読む必要はない。 [部分編集] なし 同じ中の人のキャラ [部分編集] 【封神焔鬼】【倫理転生】【神螺宵達】【流星加速】 今日の来客数= - 昨日の来客数= - 来客数の総数= -
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《猩句(ジョーク)の鎖(くさり) ワッザテング》 猩句の鎖 ワッザテング UC 自然文明 (4) クリーチャー:ビーストフォーク/暴拳王国 5000 ■<アバレチェーン>自分のクリーチャーが攻撃する時、それがこのターン最初の攻撃なら、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンから出してもよい。そうしなければ、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。 作者:wha 【企画】深き月夜に大騒ぎ!? デュエマ百鬼夜行 カードリスト:wha カードリスト2:wha 評価 名前 コメント
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宿命の鎖 「出来るだけ助けを求める人の力になりたいんです!」 プレシアが鼻息荒く宣言したのは3時間前だ。二回目の放送が流れ、新たな犠牲者の名前が読み上げられるのを聞いたプレシアは、 この忌まわしきゲームに巻き込まれて困っている人間を助けたいと言い出したのだ。ガルドは時間をかけて、丁寧に丁寧に説得をした。 ゲームが始まって一日も経っていないのに既に3分の1ほどの死者が出ている事から、ゲームは予想以上にハイペースだと考えられる。 それは多くの人間が殺し合いに参加しているという証左であり、プレシアが戦いを避けたいならば不用意に動くべきではない。 そもそも、プレシアは戦えないし、チーフも動力の出力が未だ上がらずとても戦闘は出来そうにない。 もしゲームに乗った人間に襲われたらどうするんだ? しかしプレシアは譲らなかった。曰く誰もが戦いを望むわけではない、戦いは新たな憎しみを生むだけだ・・・確かに正論だ。 それに戦いが憎しみを生む事は、他でもないガルド自身が分かっている事でもある。 プレシアの意見を青臭い理想論だと感じつつも、ガルドはそれを面と向かって指摘できないでいた。 真っ向から戦いを否定するプレシアの眩しさに、一度汚れてしまった自分は引け目を感じているのかもしれない。 ちょっとした巡り合わせで助けたプレシアと過ごすうちに、ガルドは心の澱が澄んでいくようにも思えたのだ。 思いの果てに自ら戦いを選択し決定的な過ちを犯した自らの許しを、無意識のうちにプレシアに求めているのだろうか? ならば俺は全身全霊を懸けてこの娘を守ろう、そうガルドは決意する。 すまんな、と心の中のイサムに向けてガルドは言う。俺は、俺が出来ることを今度こそ果たさなければならない。 逡巡の末、ガルドは助けを求める人を探す為、移動することに同意した。 (ボス君が、死んだなんて・・・) 陽気だけれども悪を許せない、正義感に満ちていた友人の死の衝撃は、竜馬を物思いの底に沈ませていた。 「おい!我が友よ、木にぶつかるぞ!」 ハッターに言われて現実に引き戻される。二回目の放送を聞いて居ても立ってもいられなくなった竜馬は、 半ば強引にハッターとアスカを連れ移動しているのだった。移動する方向に特に意味は無い。 ただ、今、この瞬間にも鉄也や罪の無い人々が死んでしまうかもしれない、そう思うと立ち止まってなど居られなかったのだ。 そうして2時間程、当て所の無い移動を続けていると、市街地が唐突に途切れ、目の前に光り輝く壁が見えてきた。 「何だこれは?」 左右に目をやると、光の壁は一直線に続いており、切れ目など見当たらない。 「そういえば、逃げても無駄だ、なんてさっきの放送で言ってわね」 アスカが不機嫌そうに言う。 「成る程、こういうことだったか・・・」 これからどうすべきか相談しようと横を見ると、ハッターの姿が忽然と消えていた。 「おい、ハッター!どこ行った!?」 「ハッターならその壁の中に突っ込んで行ったわよ。この壁は通り抜けられるみたいね」 と冷静に答えると、アスカは壁へとトレーラー形態のダイモスを進ませた。慌てて竜馬も後を追う。 予想に反して何の抵抗も無く通り抜けると、周囲は青々とした草原になっていた。後ろを振り返ると光の壁がそびえ立っている。 「これは、凄い技術だな!」 勢い余ったのか転んでいるハッターがそう言うのを見て、竜馬は張り詰めた気持ちが少し楽になるのを感じた。 「逃げられない、んじゃなくて、逃げても無駄だ、と言ったのはこの壁があるからじゃないかしら? 多分この壁は地図の上と下を繋げてるんだわ。現在位置はD-1だと思う」 「意外とやるじゃないか!フロイライン・アスカ!」 冷静に分析するアスカにハッターが大袈裟に驚いている。竜馬は少し考えて方針を決めた。 「よし、このまま南下しよう」 「残り時間は3時間か・・・なかなか厳しくなってきたわね・・・」 若干の焦りを滲ませてセレーナは呟いた。放送を聞いてから既に3時間が経過している。 最も大きい市街地であるA-1、B-1地区に誰か潜んでいると当たりをつけて目的地とし移動しているものの 数時間も誰とも会わないと、少しばかり心配になってしまうのは無理も無い。ECSも目立たせる為切っていた。 「どこか、一箇所に固まってるからかもしれませんね」 エルマが慰めるように言う。 「もし間に合わなかったらアンタ達のせいだからね。エルマもアルもスクラップにしちゃうわよ?」 「そんな、ヒドイですよ!」 睡眠を取ることを進言したのはエルマです。私は睡眠が足りなかった場合の可能性を提示しただけです 「ええっ!アルったら何言ってるの!」 エルマとアルの親しい様子にセレーナは目を細めて笑う。 「あらら~?いつの間に仲良くなっちゃったのかしら。お姉さんの知らない所で内緒話でもしてたの?」 回答不能 「そこだけ急に昔に戻らないでよ!」 アルが目をチカチカさせて抗議する。 「にしてもアルの声って渋いわね。この声で呼び捨てにされたら痺れちゃうかも・・・」 一人と二機が漫才を繰り広げつつも、アーバレストは北上を続ける。 剣鉄也に取って、二回目の放送は殺すべき人数が10数人減った、という以外に何の意味も無かった。 戦闘マシーンへと戻ることを選択してからおよそ8時間。鉄也は一睡もせずにガイキングの足を進めていた。 一歩一歩踏みしめる足から伝わる微弱な振動に揺られながら、ただひたすらに敵を求める。 その間、ボスの死に様を自らの永遠の枷とする為に、鉄也は何度も彼の事を思い返していた。 血の滲むような訓練の末に人間らしさを失った鉄也に、甲児やジュン、そしてボスという戦友達が居場所をくれた。 その時、彼の生きるべき場所は、戦場から皆の待つ家へと変わったのだ。 (だが・・・) 鉄也は自嘲めいた笑みを口の端に浮かべる。 (それも幻想に過ぎなかったわけだ・・・皆の優しさに触れても、結局俺の本性は変わってなかった。 あのボスが俺と同じ時間に生きたボスでなくても、あいつは掛け替えのない戦友だったのに・・・) 自分の滑稽さに笑いが止まらない。 (あいつが戦っている時、俺は全てをかなぐり捨てて助けに行く事が出来なかった。下らない考えに囚われて。 俺を信じてくれていたボスを、俺が見殺しにした。あいつは俺が殺したんだ・・・) 鉄也はボスの最期を何度も脳裏に焼き付ける。そして戦いを求める。 ガイキングが踏みしめているものが、土からざらざらとした砂になった頃、鉄也の目の前に三機のロボットが現れていた。 ガルドの目に映ったのは仰々しい恐竜の顔のようなものを腹につけた大きなロボットだった。 右腕は既に無く、身体のそこかしこに傷がある。左手は幅広の剣を持っている。どこからどう見ても、戦闘して来たことが見て取れる。 舞う砂のせいで視界が遮られていたのか、予想以上にお互いは接近していた。 逃げようと背を向ければ、相手の攻撃をまともに食らう事は確実だった。 「私はプレシア・ゼノキサスです!そちらのパイロットさん聞こえますか?」 プレシアが外部スピーカーをONにして声を張り上げる。 「俺は剣鉄也だ。貴様らが、俺の敵か」 ガイキングから低い男の声が聞こえた。まるで地獄の底から這い上がったかの如き声にガルドは畏怖を感じる。 プレシアも男の冷たい声に気勢を削がれながらも、果敢に言葉を続けた。 「違います!私達は戦うつもりはありません!あなたも戦って傷ついたんでしょう?無益な争いはやめて下さい! 私達が出来ることならお手伝いしますから・・・」 「ならば俺と戦え」 再び低い声が返ってくる。 「どうして!何故戦わなければならないんですか!」 「何故戦う?それが、俺の宿命だからだ」 そう言ってガイキングはダイターンザンバーを構える。 「我々には戦う理由が無い」 チーフがそう言うのを聞くと、鉄也は声を荒げた。 「俺は、俺を信じてくれたあいつの為に、貴様ら全員を殺さなければならない!」 有無を言わさぬ口調に、プレシアが怯む。ガルドはブラックサレナをグランゾンの前に進めた。 「見逃してはくれないのか」 「一人残らず、俺は殺す」 一片の曇りすら感じられない鉄也の声を聞き、ガルドは静かに覚悟を決め、チーフとプレシアに通信を開く。 「プレシアは南に、チーフは東に逃げろ。俺がこいつを食い止める。俺があいつに突進するのが合図だ。いいな?」 「ガルドさん、何言ってるの!?ガルドさんだけ置いて逃げるなんてできないよ!」 案の定のプレシアの反論に、チーフが口を挟んだ。 「この距離では3人とも逃げるのは無理だ。しかし一人が食い止める事が出来れば、残り二人は逃げられる。 私は戦えず、君は戦いたくない。ならばそうするしかない」 ガルドも畳み掛けるように言った。 「大丈夫だ、プレシア。必ず生き残る。約束だ」 「本当に、約束してくれる?」 「ああ。俺は約束を破ったことが無いんだ。心配するな」 俺も筋金入りの嘘付きだな・・・とガルドは自嘲する。 「ガルド、助けを連れて戻ってくる。それまで持ち応えてくれ」 チーフがそう言うと、すかさずプレシアも 「私も助けを連れてくるから!」 と叫ぶ。 「了解だ。期待している。では行くぞ。3、2、1、GO!」 カウントダウンと同時に猛然と高機動型ブラックサレナはガイキングへ向けて突進した。 東へ、東へと逃げるチーフは自らを納得させようとひたすら考えていた。 自分の判断は間違ってはいない、その一心でひた走る。 旧式のコンバーターのせいで碌に戦闘もできない自分、戦いを忌避するプレシア、そしてガルド。 戦闘できない二人を逃がす為には、ガルドが残るしかなかった。仮に自分が残っても、ガルドの足手まといになるだけだろう。 ガルドは性格的に仲間のフォローに回る事は間違いないと、出会ってからの数時間でチーフは彼を分析していた。 ならば自分には逃げる以外の選択肢が無い。一時退却して助けを見つけて戻ればいい。それで万事解決だ。 自分の目的はゲームから脱出することであり、その為には手段を選ばない。合理的だし、効率的な選択じゃないか。 しかしチーフは沸きあがる衝動を抑えられない。 合理?何だそれは。何故俺は逃げているんだ? 見た所、あのガルドに対しているパイロットは、揺るぎ無き殺意と自らの腕に対する絶対的な自信を持っていた。 ガルドも相当な手練だが無事で済む保証はどこにもない。それなのに何故自分は逃げているんだ? 既に逃げ出してから20分が経過している。今戻っても戦闘開始から40分。 機動兵器同士の総力戦が、30分以上続く可能性が限りなく低い事は経験則としてチーフは知っている。 そう、もう無駄だ。今仮に戻っても戦況には何の影響も与えられない。ならば彼の死を無駄にせず・・・ 死、だと。何を考えている。ガルドが死ぬと決まったわけじゃない。いや、自分は、自分は・・・ 合理、合理、合理、合理、合理、合理、合理――― 「おおッ!兄弟!探したぞ!」 聞き覚えのある声と見覚えのある姿。イッシー・ハッターがチーフの前に立っていた。後ろにはトレーラーと大型の機動兵器が控えている。 「ハッター・・・」 「この人がハッターの探してる人?」 「そうだ。マイ・ブラザー、魂の友、チーフだ!・・・ん、どうかしたのか兄弟?」 変わらない陽気なハッターの声に、チーフは考えるよりも早く気持ちを吐露していた。 「助けてくれ・・・」 プレシアはしゃくりあげながら南へと逃げていた。 (困ってる人を助けたい、なんて言っておいて何もできなかった。ガルドさんは確かに言っていたのに。 危ないから今は動くべきではない、と何度も説得していたのに。私のせいだ。私のせいなんだ。 話せば分かる、なんて思ってた。一回黒い悪魔のような機体に襲われたのに、まだ私は分かってなかった。 困ったらガルドさんがヒーローみたいに助けてくれて、一緒にどこまでも行けるなんて思ってたんだ。 でも現実は違う。ガルドさんは今も戦ってるんだ。早く助けを呼ばないとガルドさんが、ガルドさんが・・・) 必死で見回しながら進んでいると、灰色の機体がこちらへと向かってくるのが見える。 プレシアが呼びかけるより早く、通信回線が無理矢理開かれた。 「あなたはゲームに乗ってるの?」 若い女性の声だ。見かけた瞬間に撃ってくるような人間でない事に安堵しながら、プレシアは助けを求める。 「助けて下さい、お願いします。何でもしますから、おねがい・・・」 泣きじゃくりながら助けを求める女の子の声に、セレーナはただならぬ様子を感じる。 「どうしたの?落ち着いて説明なさい」 『ガルドさんが、私達を逃がす為に一人で戦ってるんです!だから早く助けに戻らないと!』 「そのガルドって人が戦っている相手は、無理矢理襲ってきたの?」 『戦いたくないって言ったのに、聞いてくれなかったんです・・・』 その答えを聞き、セレーナは素早く考えを巡らせる。 (この子の言う事が本当なら、その戦ってる相手はゲームに乗ってるのは間違いないわね) 「いいわ、助けてあげる。でも、その前に一つ聞きたいことがあるの」 『なんですか?』 「見た目だけの印象で申し訳ないけど、その機体は充分に戦う力があるように見えるわ。 ガルドさんは大切な人なんでしょう?なのに、どうしてあなたは戦わなかったの?」 プレシアは息を飲んだ。勿論逃げたのはガルドが逃げるよう言ったからだ。 でも、それは戦わなかった理由にはならないと本当は気づいている。グランゾンの強さは、目の前で父を奪われた自分は身に染みて知っている。 この機体の操り方だって分かっている。ただ私は怖かっただけ。戦って、殺したり殺されたりするのが怖かっただけ・・・ 『助けてあげるけど、助けるのはあなたじゃないわ』 答えられないプレシアに幾分冷たさを感じる声をかけて、アーバレストは走り出す。プレシアは俯いて後をついていくことしか出来なかった・・・ ブラックサレナとガイキングの戦いは始まって5分になろうとしていた。 ガイキングの攻撃をかわしながら体当たりを繰り返すブラックサレナだが、固い装甲に阻まれる。 しかも突進のタイミングを、段々と読まれて来ている事をガルドは感じていた。反応が良くなってきているのだ。 もし突進を正面で受け止められたら、どんな反撃を食らうか分からない。 熟練した鉄也と戦うには、高機動用パーツを装備した状態では攻め手のバリエーションが少な過ぎた。 「なかなかやるな。しかしそんなものでは俺は倒せん!」 「・・・それは分かっている」 そう呟くとブラックサレナは高機動用パーツをパージし、ハンドカノンを撃つと同時に滑空した。 ガイキングは左腕で防御し、すかさず目からデスパーサイトを放つが、フィールドによって捻じ曲げられる。 「そこだッ!」 フィールドを纏った体当たりが直撃するが、鉄也は自ら機体を後方にジャンプさせ衝撃を受け流す。 そしてヒット&アウェイの要領で上空へ戻るブラックサレナに向けて、腹部からハイドロブレイザーを3発放つ。 青白い火球をガルドが辛うじてかわすと、今度は後方から赤い十字手裏剣、カウンタークロスが唸りを上げて迫る。 それをハンドカノンで弾くと、今度はガイキングの左手がガルドの眼前に迫っていた。避けきれずに腹部に食らってしまう。 バランスを崩したブラックサレナを更に無数のミサイルが襲う。フィールドを張るが、実弾兵器には効果が薄く数発が直撃した。 一時のチャンスを逃さない鬼神の如き鉄也の猛攻に、ガルドは奇妙な満足感を得ていた。 (ここが俺の死に場所なのか・・・) 半ば諦めにも似た感情が心を塗りこめようとした時、不意にプレシアの声が甦った。 『本当に、約束してくれる?』 (そうだ、俺はプレシアとの約束を果たさなければならない!) 空中で態勢を立て直して各部の動作を確認する。バランスを犠牲にして作られた厚い装甲は確実にガルドの身を守っていた。 ガルドは打開策を考える。ガイキングは近距離、遠距離どちらにも対応したスーパーロボットだ。攻撃力が高く装甲も厚い。 最も破壊力のあるフィールドを張った体当たりでさえ普通に当たってはガイキングには決定的なダメージを与えられない。 むしろ体当たりという半ば捨て身の攻撃を見舞う為に生じる隙に、あちらから致命的なダメージを貰ってしまうかもしれないのだ。 見通しは厳しい。しかし、諦めてはいけない。俺は生き延びると約束したのだから・・・ そして再びブラックサレナは急降下する。食らうと同時に衝撃をずらされるなら、ずらせないように当たれば! ガイキングが撃ったミサイルをを機体を回転させてかわし、地面と垂直になるよう一直線にガイキングへと向かっていく。 かわせないと悟ったガイキングが左手のダイターンザンバーを投擲し、ブラックサレナの左肩に突き刺さるが、 そのスピードは全く衰えないどころか更に上がっていた。急降下の猛烈なGに軋む体を歯を食いしばって抑え付ける。 「おおおおおおおッッ!」 雄叫びと共に、体当たりがガイキングの胸部を抉る。 「ぐッ・・・」 体当たりの衝撃を受け流せず食らい、コクピット内の鉄也もあばら骨が折れる音を聞いた。 ガルドは急激な重力の変化に持って行かれそうな意識を必死で止め、恐竜の如きガイキングの腹部にハンドカノンを突っ込み 遮二無二乱射した。ガイキングの武装の多くは腹部から発射されており、ここを壊せば相手の攻め手は一気に無くなる。 連続する衝撃の中、鉄也は激痛に顔をしかめて操縦桿を握る。 「あいつが、ボスが信じてくれた剣鉄也は、ここで負けたりはしない!」 ハンドカノンの衝撃に耐えながら、左手でブラックサレナの左肩に刺さったザンバーをしっかりと握り、角を押し付ける。 「パラァァイザァァァァッ!」 押し付けられた角からブラックサレナに高圧電流が流される。電流は機体を駆け巡り、機器を焼き、ガルドの体を焦がす。 「がぁぁぁああああっああああ!」 ガルドの口が独りでに絶叫を紡ぎ出し、失禁し、涙がこぼれた。それでもガルドはトリガーを引き続ける。 (約束を・・・プレシアとの約束を・・・) 数十秒間の後、ガルドの声がかすれ、コクピットが人の肉が焼ける匂いで一杯になった時、ガイキングのエネルギーが底を尽いた。 ブラックサレナを自らの上から剥がし、ガイキングは立ち上がる。腹部の竜は無残に潰れ、全ての武器は使えない。 鉄也は朦朧とする意識の中、ブラックサレナの左肩からザンバーを抜いた。敵は微動だにしない。しかし安心はできない・・・ そしてブラックサレナに止めを刺そうと振りかぶったその時、 「ガルドさん!」 という声と共に、ガイキングの頭部に散弾が命中した。よろけた所に、走ってきたアーバレストの蹴りで吹っ飛ばされる。 ブラックサレナは無惨な姿を地に晒していた。左肩は抉れ、機体のそこかしこから煙が立ち上っている。 プレシアは泣きながらガルドに呼びかけるが、一向に答えは返ってこない。 震える手でコクピット部分に手をやりこじ開ける。自分の手のようにグランゾンを操っている自分に気づいてまた涙が溢れる。 コクピットには緑の皮膚が火傷によって黒ずんでいるガルドが横たわっていた。胸が僅かに上下している。 夢中でコクピットから飛び出してガルドの体に触れると、痛みに苦悶の表情をもらし、うっすらと目を開く。 プレシアが慌てて手を話すと、ガルドはゆっくりと首を振って言った。 「約束、守れなかったな・・・すまない・・・」 ガルドの顔はあらぬ方向を向いていた。もう目が見えていないのだ。 「手を握っていてくれないか・・・」 静かに包んでくれるようだった低い声は、かすれてしまって聞き取る事すら難しかった。 肉の焼ける饐えた匂いが、焼け爛れた肌の感触が、リアルな死の足音となってプレシアに襲い掛かる。 嗚咽が喉に絡み付き、声を発することすらプレシアには出来なかった。ただガルドの手を握り、悲嘆に暮れる。 「悪いわね、今度の相手は私よ」 ブラックサレナを守るように、アーバレストはガイキングの前に立ちはだかった。 「そうか、今度の、敵は、貴様か」 調子外れのラジオのように途切れた声。しかし鉄也の目は爛々と光り、力を失ってはいなかった。 右腕、腹部、体中の傷、満身創痍のガイキングであっても。エネルギーは切れ、武装はダイターンザンバー一振りであっても。 何故?彼は戦士だからだ。戦士として生まれ、戦士として育った男、それが剣鉄也だからだ。 「手加減はしないわよ」 「当たり前だッ!」 搭乗者の裂帛の気合が乗り移ったかのように、ガイキングは猛然とアーバレストに迫る。 しかし振り下ろされた剣は紙一重で交わされ、頭部を単分子カッターが切り裂いた。頭が地に落ち転がる。 背後に回ったアーバレストがボクサー散弾銃を至近距離から叩き込み、ガイキングは再び地面に倒れた。 サブカメラは先ほどの戦闘で壊れていたのか切り替わらず、鉄也の眼前には砂嵐が舞っていた。いつの間にかレーダーも死んでいる。 それでもガイキングは起き上がる。ボスの形見である剣を携えて、微かな音を頼りに何度も切り掛かる。 「ボス、お前に見えているか!俺はちゃんと戦えているか!」 既に軋む体の痛みは消え去り、頭の中は澄み渡る。敵を倒す、その為だけに鉄也はガイキングと一体化していく。 しかし彼の剣はわずかに届かない。そして左腕の関節が伸びきった所を裂かれ、左腕が切り落とされる。 「まだだッ!ウォォォォ!」 唸り声と共に体ごとぶつかっていく。 その姿に、セレーナは戦士の執念を感じ取る。 「せめて最後は、苦しまずないよう一瞬で終わらせてあげる・・・!」 闘牛士のようにガイキングの体当たりをかわすと、すれ違い様ガルドの攻撃で出来た背中の隙間に対戦車ダガーを撃ち込んだ。 「アディオス・・・」 轟音。幾多の衝撃を耐え抜いたガイキングの装甲が内部から爆散していく。 周囲を炎が染め行く中、鉄也は操縦桿を離さない。脳裏に焼き付けたボスに必死で問いかける。 ――ボス、俺は、お前の信じてくれた剣鉄也でいられたか? ボスが微笑んでくれたように思えた時、鉄也の意識は途切れた。 「3人目、ですね」 エルマの呟きに答えず、セレーナは目を閉じ、戦士へ黙祷を捧げた。 爆風に乗った小さな瓦礫がプレシアの肌を打つ。ガルドが半ばうわ言のように話し始めた。 「お前が、助けを連れてきてくれたのか・・・?」 「そうだよ。ごめんね、ガルドさん・・・私が戦っていれば、こんなことには!」 ガルドは小さく首を振った。 「お前を守る、そう決めたのは俺の勝手だ・・・。それに無理して、戦うことはない・・・」 「戦うのが、私怖かっただけなの。だから逃げて、ガルドさんに任せて逃げて――」 ガルドが少し強くプレシアの手を握って言った。 「誰だって、戦うのは怖い、ものだ」 掠れた声でガルドは続ける。いつの間にか少し離れた所にセレーナがそっと立っている。 「戦うことは、確かに愚かな事だ。戦わなくて済むなら、それが一番だ。でも、プレシア、お前に本当に、守りたいものが出来た時、 本当に成し遂げたい、ことがある時、戦いを選ばなければいけない時が、きっと来る」 息が荒くなり時折こみ上げる苦痛に苛まれているのか、何度も顔を顰めながらも、ガルドはプレシアへと伝える。 「その時は、戦え。お前だけの、お前にしか出せない答えを、出す為に・・・」 プレシアは頷く。 「プレシア・・・最後にお前に会えて、嬉しかった・・・」 ガルドの手から力が抜けた。プレシアは溢れ出す涙を拭って立ち上がり、ガルドの亡骸を見詰める。 「ガルドさん・・・」 掌を痛いほど握り締め、悲しみを堪える。ガルドの顔、ガルドの声、ガルドの手、絶対に忘れないように胸に刻む。 そしてセレーナの方を向いて言った。 「セレーナさん、私に戦い方を教えて下さい」 その瞳からは怯えが消え、決意が宿っていた。 チーフがハッター達を連れて戻ってきた時、その場にはブラックサレナの残骸と、四散したガイキングの鉄屑が転がっているだけだった。 「酷い有様ね」 アスカがポツリと呟く。戦闘に備えてトレーラーから人型に変形していたが、それも無駄な準備となった。 「間に合わなかった・・・」 チーフは絶望的な無力感に打ちひしがれる。助けてくれた一時の仲間をみすみす見殺しにしておいて何が指導だ。 (指導する資格など自分には無かったのだ・・・!) 「本当に鉄也君だったのか?」 戦友がゲームに乗っていたこと、そしてその戦友が死んだであろうこと、竜馬は信じたくない一心でチーフに問いかける。 「自ら剣鉄也と名乗っていた。それにさっき声は聞いただろう?」 チーフは助けを求める際に、録音していた鉄也の声を竜馬達に聞かせ、それで納得を得たのだった。 「こんなの許せるわけがあるか!」 滅茶苦茶な戦闘の形跡を見て、ハッターはユーゼスへの怒りを燃え上がらせる。 そして、チーフも一つの決断をしていた。 (総帥、申し訳ありません・・・) 「ハッター、話がある」 ガルドの埋葬を終え、セレーナとプレシアは南下していた。 プレシアの申し出を最初は断ろうとしたセレーナであったが、エルマとアルの説得に加え 既にユーゼスから指定された3人のノルマを達成したこともあり、結果的に了承することになった。 「いい?プレシアちゃん。私は厳しいわよ。それでも着いてこれる?」 「大丈夫です。絶対についていきます」 グランゾンから固い声が帰ってきて、セレーナは首を竦める。と、突然コンソールにノイズが走り、ユーゼスの顔が映った。 『久しぶりだね、レシタール君』 「ユーゼス!」 『そう警戒しないでくれたまえ。私は君にご褒美を上げようと思っているのだからね』 汗が頬を伝うのをセレーナは感じる。本当にコイツは仇の情報をくれるのか・・・ 『全く、君は素晴らしい殺人者だよ。ちゃんと3人殺してくれて私も非常に嬉しい。 だから交換条件の通り、チーム・ジェルバの仇の情報を教えよう』 息を呑む、やっと、ここまで来たんだ。 『その名前は、ラミア・ラヴレス』 「ラミア、ラヴレス」 生涯忘れぬようにその名前を繰り返す。 『勿論名前だけじゃ探すのも大変だろう。そう思って顔写真を用意した。今からアーバレストに送るから見てくれたまえ』 (顔写真・・・!?) まさか顔の情報までくれるとは思いもよらず、セレーナは驚きを顔に出してしまう。 コンソールではユーゼスの顔が消え、黄色がかった緑色の髪を肩まで伸ばした女が映っている。冷たい感じのする女だった。 (こいつが、チームのみんなを・・・!) やっと見つけた喜びか、あるいは沸きあがる怒りか、手が小刻みに震えている。 『余程私は信頼されてなかったようだな。何とも残念だよ、レシタール君。だからもう一つプレゼントを送ろう。 このプレゼントを渡せば、きっと君は私を信用してくれるようになる』 (これ以上何があるっていうの・・・?) 「あら、それは素晴らしいわ。それを貰えば、あなたのトリコになってしまうかもしれませんね」 そう冗談めかして言って、何とか心の平衡を保つ。 『実は、君の仇、ラミア・ラヴレスをこのゲームに参加せようと思うんだが・・・』 「何ですって!」 「そんな!」 セレーナは思わず叫んだ。今まで黙っていたエルマも驚きを隠せない。 『君達をここまで連れて来たのは私だ。ならば造作ない事は理解してくれよう。今から準備するので少し時間がかかるが、 ・・・そうだな、次の放送の時、午後6時ぐらいには彼女を連れてきてゲームに参加させる事ができる筈だ』 「それは、私達と同じように機体を支給されるということ?」 体が震えるのを抑えて、やっとのことで言葉を搾り出す。 『そうだ。我々のリサーチでは彼女もパイロットであることが判明している。ゲームにおける扱いは君らと同じだ。 但し君に彼女の現在位置を教えることは出来ない。何といってもこれはゲームだからな。あまり不公平では君も楽しみがいがないだろう?』 「顔と名前が分かっていれば充分よ。・・・あなたには感謝するわ、ユーゼス」 『それは重畳。レシタール君の検討を祈っているよ』 高笑いと共に、ユーゼスの顔はコンソールから消えた。 「セレーナさん・・・」 エルマが不安げな声をかける。ここまでお膳立てするユーゼスの態度はどう考えても親切過ぎる。 「いいのよ、エルマ。相対して声を聞けば顔と名前があるから、本当かどうかは確かめるのは簡単だもの。 それに・・・巡ってきた機会を逃すわけにはいかないでしょう?やっと、やっとここまで辿りついたのよ。 必ずラミア・ラヴレスは私の手で殺す・・・!」 セレーナの固い復讐心を確認し、エルマは苦い気持ちを噛み締める。 プレシアさんから通信です、マスター 「あら、すっかりほったらかしにしちゃってたわね。通信開いて」 「セレーナさんっ、急に通信切ったりしないで下さいよ!怒らせちゃったのかと思って気が気じゃなかったんですから!」 ぷりぷり怒るプレシアの声に、セレーナはすっかりいつもの調子になって答える。 「プレシアちゃんがいつまでも緊張してるから、イタズラしてみただけよ。ゆ・る・し・て・ね!」 「もうっ、二度とやらないて下さい!」 そうやって冗談を言うセレーナの目が、ちっとも笑ってない事にエルマは不安を隠せなかった。 通信を終えたユーゼスに、ラミア・ラヴレスは問うた。 「何故私が参加するのが今すぐでなく、8時間後なのでございますですか?」 「セレーナ・レシタールのメンタリティは非常に興味深いものがあるのだよ、W17。人形のお前には分からないかもしれないがな。 今すぐ縊り殺したい仇が参加する事を知っているのに、数時間待たなければならない彼女の心を想像すると、私はゾクゾクするよ・・・」 そう言うと自らに陶酔するように身を震わせた。 「ゆっくりと醸成された彼女の復讐心、最高のデータが取れそうだとは思わないかね?」 ユーゼスは手元のディスプレイに映し出されているデータを指差す。 「ガルゴ・ゴア・ボーマン、剣鉄也、二例とも素晴らしい“特殊性”を発揮してくれた。 きっとセレーナ・レシタールも、同等かそれ以上の“特殊性”を見せてくれる、私はそう期待しているのだよ」 「そういうことでしたか、さすがユーゼス様、素晴らしい洞察力をお持ちでございますね」 「フ、人間とは本当に面白い生き物だよ・・・」 ユーゼスはいくつものモニターに映るゲームの参加者を見詰める。 「W17、あの機体の整備は万全にしておけ」 「了解しましたです、ユーゼス様」 「あれに乗ったお前を見た時、セレーナ・レシタールはどう反応するかな?全く、彼女は素晴らしい玩具だよ!ハハハハハッ!」 ユーゼスの元を離れ、格納庫に向かうラミア。 彼女の目の前には、セレーナ・レシタールの乗機であるASソレアレスの未来の可能性の一つがあった。 その名は――ASアレグリアス。 【時刻 10 00】 【セレーナ・レシタール 搭乗機体:ARX-7 アーバレスト(フルメタル・パニック) パイロット状況:健康 仇の参加を知り興奮状態 機体状況:活動に支障が無い程度のダメージ 現在位置:C-3から南下(森を目指す) 第一行動方針:プレシアに戦い方を教える 最終行動方針:ラミア・ラヴレスの殺害 特機事項 トロニウムエンジンは回収。グレネード残弾5、投げナイフ残弾1】 【プレシア=ゼノキサス 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG) パイロット状況:健康 機体状況:良好 現在位置:C-3から南下(森を目指す) 第一行動方針:セレーナに戦い方を教わる 最終行動方針:自分にしか出せない答えを探す】 【ラミア・ラヴレス 搭乗機体:ASアレグリアス パイロット状況:健康(言語回路が不調) 機体状況:整備中 現在位置:ヘルモーズ 第一行動方針:ユーゼスの命令に従う 最終行動方針:???】 【チーフ 搭乗機体:テムジン747J(電脳戦機バーチャロンマーズ) パイロット状況:良好 機体状況:Vコンバーター不調『Mドライブ+S32X(レプリカ)』 現在位置:C-2 第一行動方針:Vコンバーターの修復 最終行動方針:ユーゼスの打倒 備考1:チーフは機体内に存在。 備考2:機体不調に合わせ、旧式OSで稼動中。低出力だが機動に問題は無い】 【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ) パイロット状態:少なからずショックを受けている 機体状況:良好 現在位置:C-2 第一行動方針:他の参加者との接触 最終行動方針:ゲームより脱出】 【イッシー・ハッター 搭乗機体:アファームド・ザ・ハッター(電脳戦記バーチャロン) パイロット状態:良好 怒りに震えている 機体状況:良好(SSテンガロンハットは使用不可、トンファーなし) 現在位置:C-2 第一行動方針:仲間を集める 最終行動方針:ユーゼスを倒す 備考:ロボット整備用のチェーンブロック、鉄骨(高硬度H鋼)2本を所持】 【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) パイロット状態 良好 機体状況 良好 現在位置:C-2 第一行動方針:碇シンジの捜索 第二行動指針:邪魔するものの排除 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す】 【ガルド・ゴア・ボーマン 搭乗機体:高機動型ブラックサレナ(劇場版ナデシコ) パイロット状況:死亡 機体状況:回路がほとんど焼き切れ、左肩が壊れている。ハンドガンは相応の技術がある人間なら修復可能】 【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング) パイロット状態:死亡 機体状態:四散 ダイターンザンバーは使用可能 】 前回 宿命の鎖 次回 第140話「放送(第2回)」 投下順 - 第154話「Zの鼓動」 時系列順 - 前回 登場人物追跡 次回 第135話「矛盾と心配」 セレーナ・レシタール - 第120話「情けは人の為ならず」 プレシア=ゼノサキス - 第131話「水面下の情景Ⅱ」 ラミア・ラヴレス - 第120話「情けは人の為ならず」 チーフ - 第138話「リーダーは誰だ?」 流竜馬 - 第138話「リーダーは誰だ?」 イッシー・ハッター - 第138話「リーダーは誰だ?」 惣流・アスカ・ラングレー - 第120話「情けは人の為ならず」 ガルド・ゴア・ボーマン - 第119話「戦闘マシーン」 剣鉄也 - 第131話「水面下の情景Ⅱ」 ユーゼス・ゴッツォ - リストに戻る IFネタトップに戻る 投下時期を参照する 時系列を参照する
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かすかな泣き声が聞こえる。 寝ぼけた目を擦り、まだはっきりとしない頭で泣き声の主を探す。 部屋の中はまだ暗い。時計は見えないが、かなり遅い時間だろう。 それでも、俺は起きなくちゃならない。彼女を探して大丈夫だと教えなければならない。 ……だけど何故、それをしなくちゃならないんだ? ふと、俺の頭の中に疑問がよぎる。 何故だ? 俺が何故、それをしなければならない? ぼんやりした頭が、回転数を徐々に上げていく。 ――泣いてるんだから、安心させてあげなきゃダメだろ? 違う。それだけじゃない。それだけの理由なら、俺じゃなくても良いはずだ。 ――彼女をなだめられるのは、俺しかいないから? そんなような気もする。でも、もっとこの漠然とした使命感は強い感情な気がする。 だんだん俺の頭は覚醒へと向かっていく。 それにつれて泣き声だけでなく、彼女の呼ぶ声が耳に届きはじめる。 「にーにー……ぇにーにぃ……何処? 何処ですの……?」 俺を呼んでいる、声。 ――そうだ。妹が泣いているんだから、安心させてやるのはにーにーの務めじゃないか。 かちん、と頭の中のピースがはまり、頭が一気に冴え渡った。 「……沙都子?」 隣に並べた布団の中には、沙都子の姿はなかった。 「沙都子っ!?」 「……っく、…圭……にぃ……ひっく……」 声を頼りに暗闇の中を探す。狭い部屋だから、すぐに見つかる。 布団から少し離れた壁の端、そこにうずくまって沙都子は泣いていた。 「沙都子、どうした?」 頭を撫でてやると、感極まったように腕の中に飛び込んできた。 「うわぁぁぁぁん! 圭にーにー! うあぁぁぁぁぁ!」 静かな夜に、沙都子の泣き声だけが響き渡る。 少しでも多くの温もりを求めるかのように、ぎゅっと全身で俺にしがみつく。 俺も少しでも安心してもらえるように、ただ頭を撫で続けた。 臆病な、いや臆病になってしまった妹は、まだ泣きやむ気配を見せない。 いい加減暗闇に目が慣れてきた俺は、改めて狭い部屋を見渡した。 二組の布団、端に寄せられたちゃぶ台、小さな冷蔵庫。 たったそれだけ。テレビを買う余裕すらない。 壁に掛かったカレンダー、昭和60年の6月。 そうか、あの日からもう二年も経つのか。 俺が沙都子のにーにーになったあの日から…… 一人の男によって、俺たちの日常は狂わされた。 沙都子から笑顔が奪われたあの日、俺たちは無力だった。 いや、違う。誰もが自分を犠牲にする勇気がなかっただけだ。 魅音は初めっから俺の意見に反対ばかりしてたし、何より園崎家、園崎家と体裁ばかり気にしやがる。 レナも助けたいと言っている割には何もしようともしなかった。 梨花ちゃんだって、そうだ。 一緒に住んでいた家族のはずだったのに、あの叔父のもとへ連れ去られるのを引き留めることが出来なかった。 全部、自分まで犠牲になるのを恐れたからだ。 子供だから何も出来ない、無力だと、そんな言い訳をかざしていたんだ。 そして俺も最初はそうだった…… どうせ何も出来ないと、沙都子が傷ついていくのをただ見ていただけだったんだ。 俺自身、何処かで自分が傷つくのを恐れていたから。 だけどあの日、俺はあいつらとは一線を越えた。 そんな自分が傷つきたくないだけの、非情な奴らとは…… きっかけは沙都子の発狂だった。 校長先生の足音を叔父だと思いこんで、ひどく沙都子は怯えた。 後で梨花ちゃんが教えてくれたが、沙都子はそう言う病気らしかった。 そして梨花ちゃんが沙都子に注射をしようとして…… 「っ!?ちょ、沙都子?」 沙都子は脇目もふらずに、俺の胸に飛び込んできたのだ。 全ての人に怯えていた沙都子が、何故か俺だけに助けを求めてきた。 「わぁぁぁぁ……っく、助けて、助けてよ……にーにー!」 どうすればいいのかもわからなくて、俺も助けを求めるように周りを見渡した。 魅音のうろたえた目、レナの悲しそうな目、そして頼みの梨花ちゃんでさえ信じられないというような目をしていた。 ぽつりと梨花ちゃんが呟く。 「あり得ない、沙都子が圭一をにーにーと思いこむなんて……あり得ない……」 沙都子を見る。純粋に、ただ純粋に俺の助けを求めていた。 そして俺は悟る。沙都子を救えるのは、俺しかいないってことを…… 夕方の診療所。俺の手を握ったまま眠る沙都子。 監督と、梨花ちゃんもいる。みんな、沙都子を見つめていた。 注射を忘れると沙都子は臆病になってしまうこと。 周りの人を自分に敵意があると思いこむようになってしまうこと。 なのに、何故か俺だけが例外だったこと。 監督と梨花ちゃんが説明してくれたことが、ただ頭の中をグルグル回っていた。 クールになれ、と自分を落ち着かせようと頭で何度も繰り返す。 沙都子はまだ、目覚めない。 「……監督」 「何でしょう? 前原さん」 「沙都子が目を覚ましたら、沙都子はあの家に帰らなきゃならないのか……?」 監督が口を閉ざす。それが答えだった。 「圭一」 ふと、ずっと黙っていた梨花ちゃんが口を開く。 「ボクが前、圭一に頼んだこと、覚えてますですか……?」 「沙都子のにーにーの代わりをしてくれって、あれか?」 小さな頭が、頷きを返す。 「それは沙都子が貴方に悟史の面影を重ねていたから。でも今までこんなことはなかった」 「……梨花ちゃん?」 よくわからないけど、梨花ちゃんが急に大人びたような気がして、俺は少し驚いた。 「いくら症状が出てるからって、圭一を悟史と間違えるなんてあり得ない……」 そう小さく呟き、そして続ける。 「圭一、確かに貴方は悟史と重なる部分がある。でも……」 ――沙都子のにーにーでは、無いのですよ…… その言葉が何を伝えたいものだったのかは、今もわからない。 だけど、その言葉が俺を決心させたのかもしれない。 正直なところ、その言葉に俺はカチンときた。 そうだ。確かに俺は沙都子のにーにーじゃない。 でも、なることは出来るはず。 あの時沙都子は俺を選んだ。 悟史と重なる部分があったからかもしれない。だけど他の誰でもない俺を選んだ。 だから俺がやるしか、俺が沙都子を救うしか―― 「監督、せめて俺が沙都子を家に連れて行ってもいいですか?」 「歩きでですか? 結構遠いと思いますけど……」 「負ぶって帰ってやりたいんです。せめて……」 俺が必死に頼み込んだせいか、監督は折れてくれた。 まだ目覚めない沙都子を背負って俺は歩く。 見送るのは監督と梨花ちゃん。これが一生の別れと知らない二人。 何処へいく? あてなんて無い。でも、確実に雛見沢からは背を向けて。 ただひたすら彷徨い歩いた。ポケットに入っているお金は少しだけ。 走った。ただ少しでも遠くへ行こうと思った。 そう、あの日俺たちは――逃げた。 その後のしばらくの日々は大変だった。 今でこそ俺がバイトで稼いで、こうしてボロいながらもアパートに暮らせている。 だけど当時はずっと野宿だったし、ご飯もろくに食べられなかった。 沙都子はあの日から臆病なままで、俺から少しも離れなかった。 しかもニュースで雛見沢大災害のことを知って、戻れる場所はもう無くなった。 だけどただひたすら前へ進んで、今の俺たちがここにある。 幸せを掴んだ俺たちが…… そうこう思い出しているうちに、沙都子はいつの間にか泣きやんでいた。 「落ち着いたか? 沙都子」 頷く。もともと赤い目が、もっと赤くなっていた。 「一体どうしたってんだ? 怖い夢でも見たのか?」 「ええ……圭にーにーが……いなくなる夢」 「大丈夫だ、俺はいなくなったりしねぇよ」 言って、乱暴に頭をぐしゃぐしゃと撫でてやる。 あの日以来、沙都子は俺を『圭一さん』とは呼ばなくなった。 でもにーにーとだけで呼ばれていると、悟史と重ねられてる気がして嫌だった。 沙都子を置いていった悟史とは、俺は違うんだ。 だからせめて分けてもらえるよう『圭にーにー』と呼ばせることにした。 それなら俺は圭一であり、なおかつにーにーであることが出来た。 「でも、でも……」 「大丈夫だ、沙都子を置いていなくなったりなんてしない」 「嫌……、圭にーにー、いなくならないでくださいまし……」 「だから沙都子――」 「嫌、嫌……私を、沙都子を置いていかないで……」 「……はぁ」 沙都子はこうなると、思いこみが治らない。 そういえばバイトをはじめた当初も、こうやって離れたがらなかったっけ。 こうなったときは、俺がここにいることを沙都子に教えてやらなければならない。 「沙都子」 「いなくならないで……圭にーに……!?」 頬をギュッと押さえて、その小さな唇を塞いでやる。 突然の口づけに驚いたように目を丸くしたが、落ち着くにつれ段々と目が閉じていく。 「ん……むぅ…っ……」 頃合いを見計らい、舌を差し入れる。 特徴的な八重歯を舌先でなぞっていると、待ちかまえていたように小さな舌が絡められた。 砂糖菓子のような甘さの残るその感触を、頭を撫でるように楽しむ。 「ふ…んんっ……む…」 深く繋がるにつれて、沙都子の鼻から甘えるような吐息が混じり出す。 沙都子の口腔に唾液を流し込み、俺も沙都子の唾液を飲み干す。 小さな舌は忙しなく動き、俺の方にも快楽を与えてくる。 もともと器用なのか、沙都子はキスが上手い。 時折俺の方が責められてるような錯覚すら覚えるほどに。 俺も負けじと舌を吸ったり、歯茎を舌先でくすぐったりする。 が、段々と息苦しくなって唇を離す。 つぅーっと繋がる、一本の銀糸。 「沙都子……」 紅潮した頬が、何とも可愛らしい。 そのまま首筋に口づけ、舌先でうなじをなぞっていく。 肌を軽く吸うと、ぴくんと体が小さく跳ねた。 こうやって赤い華を沙都子という大地に点々と咲かせていく。 パジャマのボタンを外し、徐々に脱がせる。 まだ育つであろう二つの膨らみが現れ、沙都子は小さく息を飲んだ。 これから与えられる全てが楽しみで仕方がないとでもいうように。 そっとその膨らみに指を這わせ、少しずつ力を込めていく。 何とも言えない柔らかさと、弾力と、温もり。 手のひらに吸い付いてくるような感触が愛おしくて、力を込めすぎそうになるのを必死に理性で止める。 「ん……はぁ……」 熱く、しっとりとした吐息が小さな口から漏れる。 もっと聞きたくて、淡い色をした蕾を摘む。 「……っ!…ふぁっ!」 コリコリと転がすように刺激を与えてやると、ぷくりと硬さを増してくる。 耳に舌を這わせる。ビクリと体が大きく跳ねた。 「ん……あっ、や……っ!!」 沙都子は耳が弱い。舌先で輪郭をなぞって、耳たぶを軽く吸ってやる。 手の動きは変えぬまま。揉みしだき、時折先端を弄ぶ。 あー、沙都子、結構胸大きくなってきたな…… 俺が弄っているせいもあるのか、最近特に成長著しい。 そろそろブラジャーでも買い与えてやらないと不味いんだろうか? どんなのが良いだろう? 色はピンクとか黄色あたりが似合いそうな気がする。 ――なんて、兄じみた思考と今している行動の矛盾に少々心が痛む。 妹であるはずの彼女との、背徳的な行為。 くそ……っ! 俺の中の二つの思考が葛藤する。 くそ、くそ、くそっ! クールになれよ、落ち着け前原圭一! そんな言い聞かせるような思考ですら、煩わしくなって。 ならば忘れて堕ちてしまえばいい、と俺は『俺』を手放していく。 律しようとすればするほど、堕ちていく。 どうせ堕ちるなら、正面からのめり込むように。 全てを忘れて没頭してしまえば、背徳感は快感を高めるためのスパイスにしかならない。 ただ快楽だけを求めて、堕ちていけ。 「ひゃうっ!」 美味そうな色合いをした蕾にしゃぶりつく。 そのままただ貪るように、赤ん坊がおっぱいを飲むように吸い付く。 「あ…っ、や、んぅ……けぇ、にーにぃ……」 脳を直接溶かしつくすような、甘ったるい声。 それに煽られていくように、ただひたすら嬲り続ける。 ミルクにも似た、ふわふわするような甘い女の子の匂い。沙都子の匂い。 立ち上っていくそれを空気に盗られるのが惜しくて、鼻から息を大きく吸う。 右手は背筋からまだ未発達な腰のラインを辿って、小さなお尻を撫で回す。 「きゃうっ!……っや、あぁ…くぅん……」 子犬が甘えるような鼻にかかった声。心の底から可愛いと思う。 熱に浮かされたような真っ赤な頬と、潤んだ瞳。荒く息をつき、小さく開かれた唇。 俺の視線に気付いたのか、そっと瞳を閉じ、唇を少し突き出してくる。 せがまれるままに、キスに応じる。ギュッと抱きしめ、頭をわしわしと撫でた。 「んむぅ……ちゅ…」 至近距離でぼやけてはいるが、満足そうに笑うのが見える。 ああ、まただ。また俺が二つに分かれていく。 その笑顔が、俺を癒す。俺を壊す。 聞こえるはずのないひぐらしの声が遠くで聞こえるような気がした。 たくさんの声が頭を満たしていく。ああ、わからねぇ。わからねぇよ! 俺は沙都子を守りたいのか? ――それとも、壊してしまいたいのか? そんな自問の答えが出るのが怖くて、目の前の行為に集中する。 ぽよぽよとしたお腹を通り過ぎて、秘められたそこにそっと指を這わせる。 「ふぁ…あっ!……んんっ………やぁっ!」 そこは既にしっとりと濡れそぼっていて、俺を受け入れることが出来ることを示していた。 指先でややほぐしてやってから、俺は張り詰めた俺自身を取り出した。 沙都子を抱き上げ、俺自身と垂直になるようにする。 沙都子と繋がるときは、必ず座位だ。 一回だけ後背位でやってみようとしたことがあったが、ギュッとしがみつけないと不安なのか、俺を呼びながら大泣きしてしまったのでそれ以来やっていない。 そもそもこの行為をはじめたきっかけは沙都子を安心させるためなんだから、逆に不安にさせちゃ意味がない。 徐々に沙都子を下ろしていく。先端が沙都子に触れ、くちゅりと音を立てる。 「ん……あ、あぅ…や……けぇ、にぃ…に……」 ずぷずぷと沙都子の中に入っていく。まだ小さく狭い沙都子の中だが、合わさり慣れたそれは思った以上にスムーズに飲み込まれる。 そして最奥まで繋がった。 予想通り、すぐさま沙都子はギュッとしがみついてくる。 俺も抱きしめ返して、頭を撫でる。サラサラとした髪の感触が心地よい。 ここからじゃ表情が見えないが、きっと満足そうなあの笑顔なんだろう。 沙都子の腰を優しく掴み、上下に揺すって抽送を開始する。 「あっ、ん……や、やぁっ!ふぁぅっ!」 甘い喘ぎが響き渡り、沙都子が艶めかしく体をくねらせる。 可愛い妹でもなく、年相応の少女でもなく、そこにいるのは一匹の雌。 ――わからない、わからない。 頭の中がガンガンする。ひぐらしの声がこだまする。 ただひたすら逃げるように、腰を打ち付けていく。 沙都子の嬌声、涙がこぼれそうな瞳、八重歯が覗くほど開かれた口。 狭い沙都子の中を夢中で掻き分け、きゅうと絡みつくそれを残さず感じ取る。 限界が近い。頭が真っ白になっていく。 ただ沙都子に笑っていて欲しかった。それだけなのに。 どうして今の沙都子の笑顔は、こんなにも胸を締め付けるんだろう? 俺、どうして、涙が止まらないんだ……? 「や、やあっ!にーにー!圭にぃ、にーっ!!ふああっ!」 呼んでいる。俺を呼んでいる。 ぎゅううっと一気に中が狭まり、沙都子の体が大きく跳ねる。 それに搾り取られるように、俺も全てを解放する。 びゅくびゅくと俺の全てをぶちまける。 一つ俺が脈打つ度に、一つ『俺』が崩れていく。 ワラう沙都子と裏腹に、俺はナイて果てた――― 「圭にーにー……?どうしたんですの?」 沙都子が心配そうに覗き込む。心の底まで見透かされそうな緋色の瞳。 その純粋さに、堪らず目を逸らしてしまった。 俺は気付いている。気付いていた。始めっから答えは持っていたんだ。 梨花ちゃんが言っていた。――俺は、沙都子のにーにーじゃ、ない。 俺は前原圭一であって、沙都子の兄の北条悟史にはなれない。 ほら、これが証拠じゃないか。 沙都子の足の間から零れ出す俺の、欲望。 いくら妹だと思っていたって、本当の兄ならこんなことしない。 沙都子を安心させるためだなんて言い訳、免罪符にもなりはしない。 それ以前に、俺は『圭一』であることを捨てきれなかった。 悟史と重ねられたくない、『圭一』のままでいたいと思ってたじゃないか。 その結果がこれだ。兄という偽りの仮面を被って、沙都子を縛り続けた。 ここまで閉じこめ、連れ去ってきてしまった。 「うあぁぁぁ……ごめん、ごめんな……沙都子……ごめんなさい、ごめんなさい……」 俺は沙都子を妹としてみてたんじゃない、俺は沙都子を自分のものにしたかっただけなんだ。 沙都子が好き、だったのかもしれない。手に入れたかっただけなのかもしれない。 二年越しの後悔が溢れ出して、止まらない。 「……圭一さん」 ふと、懐かしい呼び名。 顔を上げる。そこにいたのは、紛れもなく昭和58年の沙都子だった。 そっと頬を撫でられる。 「……わかってますの。圭一さんはにーにーと違うことぐらい。私だってわかってますのよ」 「……沙都子」 「だから『圭にーにー』と呼んできた。にーにーと似てるけど、違う。圭一さんは圭一さんなのですから……」 「……」 「わかってて貴方についてきました。だから、謝らないで。謝らなければならないのは私の方なのですから……」 そう言って沙都子は笑う。あの頃のままの笑顔で、涙を流しながら。 「私に縛り付けてごめんなさい……だから――」 ――なかないで、圭にーにー。 それが発狂しかけた俺が都合良く見た夢なのか、それとも本当だったのかわからない。 でも俺は泣いた。見たかった笑顔を見れた喜び、過ちに気付いた悲しみ、全て。 互いに道化を演じた、嘘しかないこの世界。 それとも嘘を信じ続ければ、いつかはそれが真実になるのだろうか? 頬を撫でる沙都子の小さな手のひらだけが、やけに温かかくて心に染みた。
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641 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/05/27(金) 00 52 07.78 ID BJgOYrNlP [2/3] ジャラリ ここ最近、おかしな音を耳が拾うことがある。 いや、音って言うのはおかしいのかもしれん。だって、その音はどうやら俺にしか聞こえてないらしいからだ。 ジャラリ でもこの音、なーんかどっかで聞いたことがあるような気がすんだよな。思い出せねえけど 何の音だ? って周囲を見回しても、そういった音を出すようなものはいつだって見つからりゃしない。 ジャラリ んで、だいたいそういった音が聞こえる時ってのは―― 「ほんっと、あんたってシスコンよね」 桐乃の、そういった類のセリフを聞くときに多い気がする。 「ちょっと、あんた人の話し聞いてる?」 「聞いてるよ。人をシスコンシスコンと何度も言いやがって……今更じゃねえか」 「うわ、キモ。あんたそこで開き直る? ちょっと前までシスコンって言われて憤慨してたあんたはどこいったワケ?」 「うるせえ。それを自覚させた本人が言ってんじゃねえよ。このブラコン」 「うぐ……あ、あたしは――」 「違うっての?」 「……違わないけど」 桐乃はそう口を尖らせながら不機嫌そうに答えた。でも、それがポーズだって言うのはいい加減俺だってわかるぜ? お前、照れてるだけなんだろ? そりゃ多少悔しさっぽいのも含まれてるかもしれねえけど、大半はそんな感じなはずだ。 だって顔真っ赤だし。ぷくって膨れた頬に微笑ましさは感じても怖さなんて微塵も感じやしねえよ。 もっとも、少し前までの俺なら、こんな態度を取られれば怒ってるもんだと勝手に決め付けてたんだろうけどな。 人間、変わるときは変わるもんだなあってしみじみ思うわ。 「……なんかムカつく。何ニヤニヤしてるわけ? 最近のあんた、なんか調子にノってない?」 「ひでぇ言い草だな。ただお前のこと可愛いな~って思ってただけじゃねえか」 「な!? ば、バカじゃん! キモ! キモキモキモ! キモイ! あんたやっぱちょっと性格変わりすぎ!」 「自分に素直になっただけだ」 「う、うっさい! それ以上しゃべんなシスコン! うわ、鳥肌立ってきた。もう、ほんとやめてよぅ……」 自分を何かから守るように抱きしめて顔を逸らす桐乃。 そんなことを言いつつも、チラチラと何かを期待しながらこっちを伺う桐乃は掛け値なしに可愛い。 多分尻尾がついてたらぶんぶんと盛大に振り回されてるんじゃなかろうか。 と、そこまで考えて頭に閃くものがあった。 「ああ、そうか。あれ、鎖の音に似てるのか」 漸く答えに行き当たって、胸でモヤモヤしていたのが晴れた気分だった。 鎖のこすれる音。正確には、犬を連れて歩く人が持つ鎖のリードのこすれる音がそうだ。 もっと身近な例で言えば、あやせが俺に嵌めた手錠の鎖にも似てるかもしれない。 今や伸縮性もなく、重量のある鎖のリードを持つ人はごくごく少数だろうが、おそらく間違いない。 しかし、じゃあ何でそんな音が聞こえてくるんだろうか。 「はあ? 鎖? いきなり何? 頭でも狂った?」 あんたバカ? とでも言いたげな桐乃と目が合う。 マジマジとお互いにしばらく見詰め合って、ああ、と、俺は一人勝手に納得した。 わかった。これは、俺と桐乃を繋ぐ鎖の音だ。 俺が勝手に自分の首にはめた首輪。そこから伸びる鎖。そのリードの先は、桐乃に握られている。 あの夏の夜。 桐乃の前で情けない姿をさらけ出し、黒猫と桐乃、二人を天秤にかけて桐乃をとった時、この首輪は俺の首に巻かれたんだろう。 そして、桐乃に彼氏が出来るまで自分も彼女を作らない。その宣言は正に、俺の人生が桐乃に掴まれた証明だったのかもしれない。 首輪から伸びる鎖を飼い主が持つように。 その考えに至った時、俺にはその鎖がはっきりと見えた。 俺の首から伸びて、桐乃の手に掴まれているその鎖が。 「ねえ、答えなさいよ。なーんか勝手に一人で納得してウンウン頷いちゃってさ。意味わかんないんだけど」 拗ねるように、責めるように俺にそう言ってくる桐乃だが、はたしてこんなことをこいつに言っていいものか。 バカにされるだけな様な気がしてどうも話すことに乗り気になれん。 その旨を桐乃に伝えるものの、「いいから話せ!」と可愛い妹に言われては話さざるをえない。 ……別に怖かったんじゃないよ? そうして話した桐乃の反応は 「ふ~ん。あんたそんなこと考えてたんだ」 と意外にも大人しいもんだった。どうしたんだこいつ。俺バカにされるもんだとばかり思ってたんだが。 「でもさ」 「ん?」 「それだったら、あたしもおんなじ様なもんだと……思わない?」 「同じ?」 「そ」 それはつまり……どういうことだ? 「あたしはさ、これまであんたに散々みっともないところ、見せてきたでしょ? 落ち込んで、泣いて、怒って。その度にあんたはあたしを慰めてくれたし、助けてくれた」 俺はお前のそういうところをみっともないなんて思ったことはねえけどな。 「そんでさ、あんた、あたしが彼氏作ったら泣くっていったじゃん?」 「ああ、言ったな」 今思い返せばすげー恥ずかしいこと言ってるが、それが本心なのだから仕方がない。 「あたしも、兄貴が泣くのイヤだから、彼氏作らないって決めたし……ほら、おんなじでしょ?」 「ん……まあ、そうなのか?」 「そうなの! だから、つまり、ね?。あたしの首にも……首輪は、はまってんの」 「え……」 「そんで、そこから伸びる鎖の先を持ってるのは――あんた。あたしたちは、お互いに、リードの先を持ち合ってんのよ」 そのセリフを聞いて、俺は自分の手にかすかな重みを感じた気がした。 誰にも見えない、お互いの首にはめられた首輪と、鎖のリード。 その首輪は、鎖は、固くて、強くて、そう簡単なことじゃ切れやしない。 でも、首輪に、その鎖に、強制性はまったくないのだ。 首輪には鍵がなくていつでも外そうと思えば外せるし、持った鎖もいつだって手放せる。それぐらいに脆いもの。 でも、だからこそ、お互いにその意思があれば、それはいつまでも切れない強い絆になるんだろう。 「それは……大変だな」 「そうだね。これがある限り、あたしたち離れられないかもよ?」 「だな」 お互いが離さなかったら、そうなる可能性もあるんだろうな。 けど、俺はこの首輪は外すつもりもないし、この手にあるリードも桐乃が望まない限り離すつもりもない。 それはきっと、桐乃もそうなんじゃねえかなって、なんとなく思う。 こんな関係が一生続く、ね。それはまたとんでもなく……魅力的かもしれねえな。 「じゃあさ、このまま離れられなかったら、お前どうすんの?」 「そん時は、あたしがあんたを養ってあげよっか?」 「ばーか」 おどけたように話す桐乃の頭を、俺は乱暴に撫でつけた。 この関係がいつまでも続くなんて、そんなのは都合のいい夢なのかも知れない。 でも。それでも。俺達を繋ぐこの鎖があるのなら、そんな未来もあるのかもしれないと思える お互いが望まない限り、いつまでも消えないつながれた鎖 その存在を確かめながら 今日も俺は、その音を聞く ジャラリ END -------------
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PI/SE31-02 カード名:“運命の鎖”美遊 カテゴリ:キャラ 色:緑 レベル:3 コスト:2 トリガー:1 パワー:9000 ソウル:2 特徴:《マスター》・《魔法》 【永】 あなたの控え室のクライマックスが2枚以下なら、あなたの手札のこのカードのレベルを-1。 【永】 他のあなたの前列の、緑か《魔法》のキャラ1枚につき、このカードのパワーを+1000。 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分のクロックの上から1枚を、控え室に置いてよい。 これが聖杯として生まれてきてしまった わたしの運命… レアリティ:RR,SP Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!収録 聖剣獲得へ キリト同様の早出し、前列1枚に付きの1000パンプ、CIP回復を持つ。 容易な早出し条件、回復を持つ強力なレベル3。パンプ効率もよく、単体でパワー11000にまで到達する。 絆元の“銀色に沈む街”イリヤは2000応援を持っており、このカードとの相性がいい。 ただしこのカードと色が異なるので《魔法》中心の構築・緑中心の構築、どちらにしても色事故に注意が必要。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 “銀色に沈む街”イリヤ 2/1 6000/1/1 青 絆元
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[部分編集] 心締めつける鎖 Lv 回数 オーディエンス値 ステータス変動値 必要 変動+リミット変動 対象論防心防 分類 アクティブ 1 0 0 0 + + + - + - スキル種別 パラメータ変動 2 14 + + + - + - 必要行動ポイント ■□□□□ 3 + + + - + - 対象 相手任意 4 + + + - + - 発動タイミング アクティブ 5 12 55 +19 +26 +19 -55 +6 -188 発動条件 6 + + + - + - 効果継続時間 5ターン 7 + + + - + - 支持率変動値 +7% 8 10 +36 +47 +36 -104 +9 -473 必要支持率 0% 9 + + + - + - 入手方法 10 + + + - + - 詳細 敵任意を対象として論理・心理防御力を下降させるスキル一つのパラメータの変動に特化したスキルにくらべて効果値は劣るが、どの様な相手にも効果を発揮する汎用性が売り一定ターン効果が持続する